4. リモート勤務の従業員の完全サポート
ヘルスケアはリモートワークと結びつけて考えられる分野ではないかもしれません。しかし、パンデミック時には臨床ケアに直接必要とされない従業員が在宅勤務へ移行し、放射線科医などの医師も自宅で患者の画像を読影するようになりました。
スペースが解放され、従業員や臨床医もこの働き方に満足したことで、多くの組織においてリモートワークは定着しています。ビデオ会議やメッセージングアプリによって他者とつながることができ、クラウド対応により、インターネット接続があればどこからでもリモートおよび現場でのアクセスが可能になります。
ヘルスケア業界におけるクラウドコンピューティングは、医療提供者が患者記録や医療情報に安全にアクセスできるようにするとともに、コラボレーションツールを含むコミュニケーション手段を提供し、リモートチームメンバーが同僚や患者とつながり続けられるようにします。
5. 機敏性の向上
ヘルスケア業界におけるクラウドコンピューティングのもう一つのメリットは、クラウドベースの戦略により、HCOがビジネス環境の要請に応じてITインフラを迅速に拡張したり、新しい機能を追加したりできる点です。
オンプレミスでの導入はより馴染みやすく感じられるかもしれませんが、オンプレミスソリューションを拡張するのにかかる時間は、マーケットや環境の変化に迅速に対応できるアジャイルな組織を支えるにはあまりにも長すぎます。
現実的な選択肢はクラウドの展開です。その理由を説明します。
- ソリューション導入を加速します。ITインフラストラクチャのプロビジョニング、購入、または提供を待つ必要はありません
- 新しいコンピューティングパワーやストレージが1日以内で利用できるようになります
- EYが指摘しているように、モノリシックなアプリケーションに頼るのではなく、再利用可能なコンポーネントを使用して開発を加速します。
6. 新しくスマートなテクノロジーや統合機能への容易なアクセス
戦略的なクラウド活用により、より迅速なアップデートと拡張性の高いテクノロジーが実現します。ヘルスケア業界におけるクラウドコンピューティングの場合、クラウド対応のHCOにより以下にアクセスできるようになります。
7. 患者エクスペリエンスの向上
患者の期待は、消費者主導の環境と、パンデミックによってもたらされたデジタルリテラシーの向上によって大きく変化しています。
患者も他の消費者と同様に、シンプルで包括的なデジタル体験を期待しています。
- 簡単なアクセス性
- ユーザーフレンドリーなインターフェース
- 迅速な対応
- 予測型サービス(Amazonの「一緒に購入されている商品」やNetflixの「○○をご覧いただいた方にはこちらもおすすめ」など)
患者は、リサーチの収集や確認から症状や診断・治療の把握、さらには慢性疾患の管理まで、ヘルスケア分野の全過程において情報を提供してくれるプラットフォームを求めています。
また、以下を含む医療機関とのあらゆる問い合わせや手続きを、1つのウェブサイトで完結させたいと考えています。
- 予約のスケジュール管理
- 検査結果や医療画像を含む、自身の診療情報へのアクセス
- 請求書の支払い
これらの期待に効果的に応える HCO は、より高いレベルの患者エンゲージメントを享受する可能性が高いです。
8. 医療チームによる患者情報の統合的な把握
従来、医療提供者はセキュリティ上の懸念や患者のプライバシーリスクへの不安から、クラウド移行に慎重でした。しかし、クラウドのメリットがこうした慎重な姿勢を上回りつつあり、多くの組織がクラウド上のデータの安全性を理解し始めています。
安全なクラウド戦略を導入することで、認可された医療スタッフやその他の医療提供者が、組織全体の臨床データや業務データにアクセスできるようになります。これにより、情報のサイロ化や複雑なネットワーク構成を解消し、患者ケアにおいてより迅速で安定した基盤を提供できます。医療スタッフは、場所に関係なく以下のことができるようになります。
- 複数の連携された情報源から患者データにアクセスすること
- 患者の情報や検査結果を確認・共有すること
- どこからでも患者の診断や治療方針について共同作業すること
9. 災害復旧準備の強化
従来、IT部門はシステムをバックアップし、複数の場所にあるデバイスに保存してきました。このプロセスは手動で行われ、物理的なスペースを占有するデバイスを使用するため、エラーが発生しやすくなります。
ヘルスケア分野では、最新で正確かつアクセスしやすい情報を持つことは、命に関わることがあります。世界的にも国内でも地域レベルでも前例のない状況が発生しており、将来がどうなるかを予測することはできません。
ほとんどのHCOは、患者ケアに不可欠な電子カルテや患者管理システムに依存する必要があります。これらは正確で、ダウンタイムなしで24時間いつでもアクセスできることが求められます。
医療(およびすべての業界)におけるクラウドコンピューティングの利点は、クラウドベースのデータ復旧により、オンプレミス型展開よりも信頼性が向上し、ダウンタイムが短縮されることです。従来のバックアップモデルに含まれる手動プロセスとは異なり、リカバリが自動化されているため、ダウンタイムが短縮されます。