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PACS依存からイメージングへとアプローチを変える必要がある8つの理由

エンタープライズイメージングシステムは、既存のPACS製品を大幅に強化し、相互運用性と情報共有に関するより大きな組織的課題に対処するのに役立ちます。

世界中の医療組織は、より少ないリソースでより多くのことを行うことを余儀なくされています。

同時に、患者中心のケアと公衆衛生に改めて焦点を当てることで、放射線科を含む組織全体の臨床および金融業務の変革が推進されています。

さらに、M&Aが増え、提携や合弁事業も絶えず変化しているため、混在するシステムは多様化し、ただでも複雑な業務がさらに複雑になっています。

従来のサイロ化された臨床ケアのアプローチは、コストがかかり、非効率的なため、持続可能とはいえません。

重要な例として、患者情報を容易に共有できるエンタープライズ電子医療記録(EMR)を構築する取り組みは、臨床上および財務上の成果の改善につながっていますが、臨床コンテンツの80%がEMRの外部にあり、その多くが非DICOM画像であるという状況が続いています。

これは、危険な臨床の盲点につながります。重要な患者情報には、依然としてアクセスできていません。

分散型システムは依然としてセキュリティリスクが高く、保護された医療情報(PHI)は必要以上に危険にさらされるときがあります。

放射線科の画像やデータ、およびEMRの外部に存在する他の「~科」(循環器科、皮膚科、超音波検査、放射線腫瘍科、マンモグラフィーなど)を組み込む共通の方法がない場合、重要な情報を考慮しないまま患者の評価が行われてしまうことがよくあります。

そして、臨床上の意思決定も困難になります。

部門別PACSではもはや不十分

このような環境の変化の中で、従来のPACS(画像アーカイブ通信システム)を導入している組織は、その対応に苦労しています。

今日のPACSソリューションの多くは、DICOMベースの医用画像(レントゲン、CT、MRI画像など)を保存および管理し、それらの研究を生成して解釈する放射線科と循環器科のワークフローを合理化するために構築されています。

そのため、システムは各科のDICOM画像フローの管理を目的に設計されており、資産を拡張し、企業全体で他の臨床関係者とコスト効率よく共有するために設計されたものではありません。

さらに、皮膚科、消化器科、外科などで撮影された多くの非DICOM臨床画像およびビデオ(JPEG、MPEG、PDFなど)は、重要な臨床的価値を提供します。

これらの画像は、通常、EMRから切り離されたサイロ化された部門システムに保存されます。一部の医療提供者は、管理と制御を一元化するために、これらの資産を既存のPACSシステムに追加しようとしています。

しかし、PACSの多くは、DICOM以外の資産を簡単に取り込んで管理するための機能を備えていないため、この取り組みは複雑でコストがかかります。その結果、多くの診断画像はポイントオブケアの臨床医に簡単に提供されず、外部の協力的な組織に提供されることもほとんどありません。

PACSは老朽化も進んでおり、実際、多くのPACSの実装は世代的に古くなっていました。その結果、業者から入手できるモダリティ技術、システムの変更、イノベーションの進歩に追いつけない状態です。

新しい組織が加わるたびに、これらすべての課題が混じり合い、イメージングのサイロ化がさらに進み、異なる医療記録番号の分類法が導入され、コストと複雑さが増していきます。

PACSのみを使い続けることは、確実にサイロの壁を強化します。今日の環境では、どんな組織もそのようなリスクを冒すべきではありません。

しかし、PACSシステムを捨てて、より少ない技術やもっと新しい技術を採用することで、独自の課題が生じる可能性もあります。臨床上の意思決定のためにPACSに依存する部門の画像診断専門家や組織にとって、既存のPACSソリューションは、多額の投資を象徴するものであり、また使い慣れた作業環境だからです。

エンタープライズイメージングは、未来への強力な架け橋となりえます

朗報か?

既存のPACSを維持すると決めた組織にとって、最新のエンタープライズイメージングシステムは優れた架け橋となります。テクノロジーの進歩によるメリットを享受するための柔軟性と拡張性を提供しつつ、現在のシステムへの投資も保護できるからです。

簡単に言うと、エンタープライズイメージングシステムは、既存のPACS製品を大幅に強化し、相互運用性と情報共有に関するより大きな組織的課題に対処するのに役立ちます。

これにより、患者中心のケアと住民の健康を目指す変革の道筋が整うとともに、さらなる買収や新しいパートナーシップが結ばれた際の移行も容易になります。

現代の組織は、プラットフォームを統合し、組織全体の画像取得、管理、可視化、配信に関連するサイロ化されたシステムを強化できるエンタープライズイメージング戦略を必要としています。

この変革には複数の道筋があり、各組織には独自のニーズに合うようカスタマイズされたエンタープライズイメージング戦略が必要ですが、長続きする変化を生み出すためには、以下の要素が必要です。

  • 全組織のコンテンツを一元的かつ患者中心に把握できること
  • 特定の業者に依存せず中立的な、相互運用性の高いアプローチで、DICOM画像と非DICOM画像の両方を含む大量の医療データの管理と共有を容易にすること
  • 放射線医学やその他複数の「〜学」、臨床および専門ワークステーションへの可視化、大量のワークロードをサポートできる専用ビューア
  • データを迅速に組み合わせ、次の買収/提携に備える能力
  • 放射線科と企業に正当なROIを提供するソリューション

PACS依存からの脱却が必要な8つの理由

ITと連携したリーダーシップのイメージ化により強力なエンタープライズイメージング戦略が策定されれば、患者中心のケアモデルを構築するための組織全体での大規模な取り組みを促進できます。

そのために画像記録とデータに即時にアクセスできるようにし、その一方で公衆衛生の進展に伴い組織が情報共有とコラボレーションを加速できるようにします。

エンタープライズイメージングは、イメージキャプチャの取得、VNA(ベンダーニュートラルアーカイブ)、エンタープライズビューイング、および情報、画像、データの共有で構成されます。 

適切なソリューションは、手術ビデオ、創傷写真、心臓病学、超音波など、幅広い種類の画像に対応できます。また、コンテンツの完全性や、あらゆるレベルでのベンダーの中立性も重要です。

これらのツールを組み合わせることで、PACSよりも広範な戦略をサポートし、さらにPACS機能を企業全体に拡張することができます。

ここでは、PACSのみに依存する戦略から脱却することが重要な8つの理由をご紹介します。

これらは、財務パフォーマンスの管理、医療上の成果の改善、規制対応とリスク軽減という3つの主要なカテゴリに分類されます。

財務パフォーマンスの管理

システムの合理化とデータの統合ができるようになると、システムのコストが削減され、企業全体でのコラボレーションを効率的に進めることができます。

1. 柔軟性と拡張性の向上とコスト削減を同時に実現

強力なエンタープライズイメージング戦略により、組織によるシステムの管理、保守、アップグレード、およびシステム保護が高度になり、その一方でコストを大幅に削減できます。

これにより、組織ではコストのかかるPACSデータ移行の必要性が低くなり、場合によっては必要がなくなることもあります。さらに、プロセスに必要な財源や人的リソースを大幅に節約できます。

また、デスクトップデバイスでもモバイルデバイスでもあらゆる場所から情報を表示できるようにすることで、放射線科医などの臨床医に対してすぐれたユーザーエクスペリエンスを柔軟に提供できるようになります。

さらに、IT部門はゼロフットプリントビューアの利用により高度なアクセス設定ができ、その一方でサポートするエンタープライズビューアの数を最小限に抑えられます。

これらのビューアでは企業全体で使用するデバイスの数を抑えることができるだけでなく、部門間でのデバイスの管理も改善できます。

エンタープライズビューアは短期的なニーズに対しても長期的なニーズに対しても、画像管理の強固な基礎となります。

エンタプライズイメージングにより、医療システムの準備を進め、組織の変化に応じた適応や拡張ができるようになります。組織の変化とは、合併や買収、新しいパートナーシップ、部門の変更、規制の変更などがあります。

2. 画像データへのアクセスを簡素化し、より多くのコンテンツを提供

画像データを孤立したサイロから引き出すことは、強固なエンタープライズイメージング手法の最も重要な要素のひとつで、患者中心の共同ケアを実現し、公衆衛生イニシアチブを推進する上で不可欠です。

最新のエンタープライズイメージングソリューションは、幅広い医療用の画像とデータの形式に対応しています。たとえば、デバイスのカメラロール、USBドライブ、CD、各ワークステーションのファイルシステムなどに保存されている画像や動画などです。

最も重要なのは、この情報を価値のある方法で共有できるということです。

この追加情報を利用できるようにすると、医師が患者の全体像を詳細に把握できるようになります。

これに加えて、企業のVNAで構造化されていないさまざまなデータや画像の追加、表示、共同作業を各組織ができるようにすると、複数のシステムで重複するデータに関するコストを削減できます。

さらに、別々になっているデータを統合するためのツールは、米国の新しいVBC(価値に基づくケア)モデルでの償還を最大限にするために不可欠です。特に、奨励金支払いシステムにおいて画像診断の手順が組み込まれることが多くなり、Frost & Sullivan の調査によれば2016年には10%だったものが、2020年には50%となっていました。

3. 「~科」の整理

強力なエンタープライズイメージング戦略により、組織は放射線科やその他すべての「~科」のイメージングコンテンツを1つの安全なエンタープライズVNAで管理できます。

エンタープライズイメージングでは、データを一元管理し、独自のアーカイブと他のシステム全体の医療アプリケーションとの間での相互運用性のレベルを高めることができます。

これにより、部門ごとの独自のモダリティデバイスで生じる障壁が軽減され、部門やファイル形式に関係なく、一貫した信頼性の高い画像および動画処理が可能になります。

その結果、医療イメージング情報の表示が1つにまとめられ、企業全体の中のある1ヶ所から提供されます。放射線科にとってもIT部門にとっても最高の状態といえます。

4. 臨床ワークフローの改善と業務効率の向上

PACSが部門にまたがって存在し、その多くがEMRと統合されていない場合、十分に連携がとれたケアができる可能性は低くなります。

エンタープライズイメージングソリューションを他のシステムと統合すると、サイロがなくなり、放射線科医やその他の臨床医が利用できる単一アクセスポイントができます。また、情報を得るために複数のシステムにログインしたり、ブラウザを切り替えたりする必要がなくなります。

さらに重要なことには、患者記録の全体像を把握することで、すべての医療従事者のポイントオブケアの相互作用が改善され、最終的には患者の転帰が改善されます。

これは、エンタープライズイメージングで可能な自動化により、画像が一貫して患者と関連付けられ、診察時には医療記録として提示されます。このため、作業時間が短縮されて生産性が向上し、コスト効率の高いケアが容易になります。

たとえば、放射線科の場合、放射線科医はクラウド対応の診断ビューアを使用してどこからでも画像の読影ができます。

そのため、膨大な画像検査を他の専門家と共有でき、組織内、さらにはケアプロセス全体で、他の臨床医との強力なコラボレーションが可能になります。

さらに、キャプチャしたコンテンツをEMRやその他の臨床システムに手動でインポートしてインデックスを作成する必要が少なくなるため、イメージングチームの効率が大幅に向上します。

患者記録の全体像を把握することで、すべての医療従事者のポイントオブケアの相互作用が改善され、最終的には患者の転帰が改善されます。

5. ケアコーディネーションの拡大

エンタープライズイメージングにより、組織では、ケアプロセス全体にわたって、一貫した情報を、患者中心のビューで、すべての人が利用できるようになります。

これにより、組織内、さらには組織間で、患者エクスペリエンスがより綿密なものになります。これは価値に基づく還元にとって非常に重要なことです。このプロセスでは患者に代わり臨床コンテンツを所有することが必須となるためです。

臨床医は過去の画像にもアクセスできるようになるため、長期間にわたる画像を確認し、患者のための意思決定に必要な洞察とコンテキストを得られるようになります。

規制への対応とリスクの軽減

技術投資を保護および拡張し、その一方で組織のリスクを軽減することは、画像関連のプロセスを発展させる上で重要です。

6. システム統合を容易にし、既存システムのROIを最大化

病院のCIOの4分の1以上は、EMR情報の取得がますます大きな問題になっていると考えられます。

PACSで多く見られる相互運用性の障害を考慮すると、EMRから医療用画像にアクセスすることが非常に困難になる場合があります。

EMRを画像対応にすることで、エンタープライズイメージングテクノロジーで組織の既存の投資を活用できるようになります。また、医療画像データの接続、共有、表示、管理を低予算でできるようになります。

組織は、画像対応のEMR表示やHIE(医療情報交換)などのリソースにより、ポイントオブケアで画像やデータを柔軟に配布できるため、コストがかかるシステムのROI(投資収益率)が向上します。

これらの取り組みにより、EMR、HIE、PACSの各システムのROIが同時に向上します。

7. イメージング技術アプローチの簡素化

エンタープライズイメージング戦略でイメージングテクノロジーを合理化することで、ディスク間、アプリケーション間、データ更新プロジェクト全体で、移行を合理化し、コストを削減できます。

さらに、ストレージやその他のインフラストラクチャの変更も合理化されます。

また、イメージング手法を合理化することで、組織全体での災害復旧作業の改善をサポートすると同時に、全社的な高可用性オプションの開発もサポートできます。

全社的な戦略を策定することで、複数の部門や組織にまたがるイメージングの合理化が容易になり、新しい合併や買収が発生したときのオンボーディングと統合のプロセスが簡素化されます。

おそらく最も重要なのは、テクノロジーの進歩に伴い最終的にPACSが廃止されるときに備えて、組織に橋渡しをすることです。

8. セキュリティとコンプライアンスの向上

VNAでサポートされるエンタープライズイメージング戦略により、組織はHIPAAコンプライアンス基準を満たしながら、システムへのアクセスを制御し、すべての画像にセキュリティプロトコルを適用し、PHIや機密性の高い画像をより適切に保護するための監査プロセスを実装できます。

部門ごとのイメージングのサイロを排除することで、潜在的な攻撃ポイントを減らすことができます。

これらの改善点を組み合わせることで、部門レベルだけでなく、企業全体でも有益になります。

シンプルですぐに使えるものに

PACSからの移行を始めるにあたり、エンタープライズイメージング戦略の策定や強化を行うための手法がどのようなものであれ、その取り組みは「目的地」ではなく「行程」としてとらえることが重要です。

既存のツールを引き続き活用し、その一方で情報共有とコラボレーションを改善するための取り組みを促進する手法を確立すると、ポジショニングを行い、絶え間なく変化する医療業界での競争力を維持できます。

これは放射線科でも、企業全体についても言えることです。

エンタープライズイメージングについて優れている点として、主要なテクノロジーを任意の順序で実装できることがあります。これにより、医療用画像やすべての関連するドキュメントの接続、管理、表示、共有を自分の条件や時間にあわせて行うことが簡単になります。

その結果、優れた成果、効果的なケア、ワークフローの合理化を実現できる、柔軟で拡張可能な手法が確立されます。進める価値のある変更です。