読書タイム

新しいテクノロジーを取り入れる文化の構築

リーダーがどのように変化を予測して対処し、従業員に力を与え、新しいテクノロジーを取り入れる文化を構築する必要があるかについてご紹介します。

新しいテクノロジーを導入したり、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めたりするとき、組織のあらゆるレベルに、どうしても参加しようとしない従業員がいるものです。変化に対する抵抗は人間の性質です。そのテクノロジーがどれほどユーザーフレンドリーであっても、どれほどスムーズに展開されても、企業ではこのような事態を避けられません。

高価なテクノロジーのプロジェクトに投資する場合、失敗を許容する余裕はあまりありません。ありがたいことに、1回目できちんと行う方法があります。エンゲージメントを築き、企業文化に変化を受け入れる考え方を育むことは、新しいツールとプロセスを導入するための最初のステップであるべきです。

従業員エクスペリエンス(EX)に関する2020年のForresterのレポートによると、ForresterのEXインデックス(従業員エンゲージメントを評価するために使用される指標)で上位20%のスコアを獲得した従業員は、テクノロジー環境に満足している可能性が高いとのことです。対照的に、指数の下位50%に位置する従業員は、自社のテクノロジーに大きな不満を持っていました。

従業員のエンゲージメントを維持し、会社のミッションやビジョンとのつながりを維持することは難しくなっています。リモート環境でいろいろな人が働くようになり、ビジネス環境が急速に変化し、経営陣の注意が他のことに集中しているためです。しかし、生産性は他と無関係に発生するわけではありません。不確実性の中で生き残り繁栄するための適切なテクノロジーと同じくらい、エンゲージメントが重要です。

新技術の導入と変更プロセスに取り組む前に、経営幹部はまず、従業員に求めている変更の内容を理解する必要があります。また、経験年数や責任の度合いが異なる従業員には、それぞれに合わせたアプローチが最も効果的であることを理解する必要があります。

新技術の導入と変更プロセスに取り組む前に、経営幹部はまず、従業員に求めている変更の内容を理解する必要があります。

ディレクター、VP、上級管理職

何よりもまず、主要なビジネスリーダーや部門長と新しい試みについて検討し、テクノロジーの変化を受け入れるという点で各人がどのような立場にいるかをマッピングします。このような議論で真に正直なフィードバックを得るには、率直さが罰せられるのではなく奨励される文化が必要です。次に、躊躇しているリーダーの懸念事項に対応するセールスポイントを用いて、彼らを仲間に引き入れるためのアプローチを開発します。

このレベルのリーダーは、管理職に対して明確に一貫して意図を伝えられるように準備が整っている必要があります。しかしそうなるためには、まず彼らは助言する役になる必要があります。彼らの賛同が得られなければ、企業全体で変革のビジョンを共有する段階で、すぐに亀裂が現れてしまいます。

真のエンゲージメントに影響を与えるために、経営陣は知識を共有する態度の模範を示す必要があります。それは、中間管理職との信頼関係を築くのに大いに役立ちます。中間管理職のエンゲージメントは、新しい構想の成否を最終的に大きく左右するのです。

リーダーは、次のことを行う必要があります。

  • 管理職に権限を与える

  • 変化がもたらすメリットを伝える

  • 管理職に一貫した指導を行う

  • KPIの作成を調整する

  • 人材とチェンジメーカーを発掘する

  • テクノロジー投資を評価する

  • 未来志向になる

  • キーとなる管理職と従業員の育成を支援する

  • 「言行一致」

中間管理職、チームリーダー

中間管理職は、戦略と実行をつなぐ存在です。当然のことながら、彼らは自分のチームや部門を守ろうとし、概して変化に抵抗します。特に、自動化テクノロジーを導入する際にはなおさらです。彼らの恐れを無視したり、軽くあしらったりするのではなく、対処してください。ここでは、部門間で一貫して実施することが、企業全体のビジョンを実現するために重要です。

中間管理職は、会社の業績だけでなく文化の変革のためにも、成果と説明責任を推進するのに理想的なグループになります。経営陣は、各中間管理職が直属の部下に対する明確な期待や、一貫した目標と基準を設定できるように、共通のコミュニケーション戦略を提供する必要があります。

テクノロジーによる効率向上は人員削減とイコールではないことを幹部や経営陣がスタッフに伝える際に、これらの管理職は手助けになってくれます。より高度なタスクに取り組み、カスタマーエクスペリエンスに集中するための準備を整える手段としての新しいテクノロジーの可能性を、管理職がチームに示すことができるようにしましょう。中間管理職がチームに「なぜ」を効果的に伝えられれば、経営幹部レベルの目標への重要な架け橋を築くことができます。

リーダーは、次のことを行う必要があります。

  • 変革の担い手として行動する

  • チェンジメーカーを発掘する

  • 経営陣の戦略を実行する

  • 共通のリーダーシップ実践に従って行動する

  • 組織全体に同じ意見を伝える

  • 一貫した継続と完遂

  • 企業文化とビジネス成果に対する責任に他者を巻き込む

個々の貢献者

ユーザーは、新しいテクノロジーやプロセスを受け入れる準備をする前に、適切な心構えになる必要があります。彼ら自身が、これらの変更の影響を受けるからです。失敗した、あるいは不快だった過去の新構想の影響が続くことを、過小評価してはいけません。

チームに変更を伝えるだけでは不十分です。彼らとコミュニケーションしてください。フィードバックを集めるだけではなく、そのフィードバックを使ってください。若い従業員でさえ、特に彼らがプロセスに関与していない場合には、常にオープンで変化に適応できるとは限りません。このグループは、必ずしもテクノロジーの選択に関与する必要はありませんが、特徴や機能、実施計画について意見や提案を述べる必要があります。彼ら自身がテクノロジーを最も使用する人たちである可能性が高いため、彼らのフィードバックは新しいプロジェクトの成功に不可欠です。

導入の一部として標準的にトレーニングを設けてください。テクノロジーベンダーには新製品公開のプログラムと顧客接点を提供する必要がありますが、それだけで十分だと思わないでください。知識の共有と新しいスキルの採用を、組織内に組み込む必要があります。この種の投資は、従業員のスキル維持だけでなく、従業員の革新性を推進するエンゲージメントの維持にも大いに役立ちます。

リーダーは、次のことを行う必要があります。

  • 顧客への変更を管理する
  • 管理職にフィードバックを提供する
  • チェンジメーカーとして行動する
  • 他のユーザーと部門横断的に連携する

変化に対する抵抗が人間の性質ならば、この人間の反応を先取りして対応する計画を立ててください。迷ったときには、NeuroLeadership Instituteの共同設立者であるDavid Rock氏の造語、SCARFモデルを参照してください。その言葉は、次の内容を意味します。

STATUS(地位):他者に対する相対的な重要性

CERTAINTY(確実性):未来を予測する能力

AUTONOMY(自律性):出来事をコントロールする感覚

RELATEDNESS(関係性):他者との間に安心感があるか

FAIRNESS(公平性):人と人との交流をどれだけ公平であると認識しているか

従業員を変革のパートナーとみなし、なぜ変革が必要なのかを彼らが理解できるようにしてください。リーダーが変化を予測し、その重要性に対処し、変化に備えて受け入れるとき、従業員も同じように受け入れるでしょう。

従業員を変革のパートナーとみなし、なぜ変革が必要なのかを彼らが理解できるようにしてください。リーダーが変化を予測し、その重要性に対処し、変化に備えて受け入れるとき、従業員も同じように受け入れるでしょう。